狐の嫁入りっていいよね

理系と芸術系になりそなった文系卒、コンピュータグラフィックスを学ぶ

Ankiを使い始めて一年で500時間勉強したので「なぜAnkiを使うのか」を書き連ねた

みんな大好きAnki

Ankiを真面目に使い始めて一年が経った。

Ankiで復習した時間はこの一年で延べ500時間を超えていた。

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名古屋人が朝起きたら喫茶店に駆け込みコーヒーとモーニングセットを頼むのが生活の一部となっているように、Ankiをやることが私の生活の一部になっている。

この500時間という数値は「Ankiで復習した時間」なので、「テキストを読んだり問題集を解いて新規に勉強した時間」と「Ankiの単語を登録に要した作業の時間」は含まれていない。「勉強のための作業は勉強時間に入らないんじゃないの??」と言われたそれまでだが、ここには新規に学習している時間は含まれていないので、ここ一年の実際の勉強時間はもっとあるのだと思われる。

なぜAnkiを使うのか

この記事ではAnkiが勉強に有効な理由を書いていきたい。

Ankiを使う理由:復習のスパンを手動で管理をしなくていい。

効率よく頭の中に知識を定着させるためには適切なタイミングで復習をする必要がある。(エビングハウスの忘却曲線

言い換えると、知識の定着には適切な学習管理が必要である。

がしかし、この「効率的に知識を定着させるために今日は何をやるべきなのか」を考える行為は一般的にとても煩雑な作業になる。

そこでAnkiを使えば、この煩雑な学習管理を人力で行う必要がなく、目の前に出されたカードを黙々と解いていくだけで記憶に定着ができるというわけである。これがAnkiを使う理由の一つ目。

Ankiを使う理由:覚えられる感覚が気持ちがいいから。

Ankiを繰り返していくと、知識を覚えつつ理解できている感覚があることがわかる。昨日わからなかった問題の理解が少しずつ進んでゆく。独立していた知識が繋がってゆく。知識が繋がるとき、霧が晴れるような快感を覚える。「そうか、そういうことだったのか」と。Ankiを続けていくとはもちろん多少のしんどさはあるが、この少しずつ成長できているこのイタキモチイイ感覚がなんともいえない。

Ankiというアプリの名前が「丸暗記」というニュアンスすら含みそうなのだが、そうではない。物事を理解するためには最低限覚えないといけないことがあり、かつ、それらを有機的に整理したうえで繋げてやる必要がある。この作業は属人的な部分が大きいかもしれないが、Anki上でやることも可能だと思う。いや、Ankiがそれを補助してくれるといったほうがいいか。知識をつなげるベースを作ってくれる。

Ankiを使い始めてから、使っていない時よりも「あーそうか、そういうことだったのか」と理解できる機会が圧倒的に増えている。知的好奇心を満たしてくれて単純にうれしい。だから触り続けるのだと思う。

Ankiを使う理由:努力が無駄になりにくい

「その知識を覚えるべきであり」かつ「適切に単語帳をAnkiに登録できている」のであれば、努力が無駄になりにくい。

Ankiに単語帳として登録する際にもルールがある。 参照: 効果的な学習法: 知識を定式化する20個のルール (目次)

このルールを守っていれば、Ankiを使わない時に比べて、適切に覚えられる。いわばスポーツの基本フォームのようなものだと思う。 トレーニングするフォームがおかしければ、トレーニングをしても効果が出づらい。むしろ害になることもある。このサイトの知識はそれを防いで、忘れそうなときに自動で(=適切なスパンで)その知識を出してくれる。

Ankを使う理由:昔勉強したものを引っ張ってこれる(データベース化)

これだけやっても必要な知識がパッとでてこなかったりする。 そんなときはAnkiは単語帳に登録した言葉の検索が可能だ。 「金属表現に最適な鏡面反射のシェーダー、なんだっけ。Ankiに入れてたな確か」→Ankiのデータベースで検索をする→「ああ、クック・トランスのシェーダーか。」というような感じで調べられる。個人的にはEvernoteGoogle Keepにぶち込むよりも「覚えつつメモを残せる(し必要に応じて検索もできる)」ため、これらよりも有意義なツールだと思う。

Ankiを使う理由:オープンソースソフトウェアでかつ、全世界から支持されているので開発中止になりにくい

同じようなソフトとして、zuknowがあった。が、サービス中止になった。

zuknow-magazine.hatenablog.com

組織がアプリ開発をしている場合、どうしても掛けた労力分の収益がないと撤退してしまう。zuknowの明確なサービス中止理由はネットでは見つからなかったが、アプリの開発中止をすると移行が面倒だ。また、いままで登録したものも無駄になってしまう可能性がある。

対して、Ankiはオープンソースソフトウェアであり有志によって作られている。かつ、その母体も世界規模でかなり大きいので、サービス停止ということになりにくい。他のツールを使わない理由はここにあるというのもAnkiを使う理由の一つだ。


結び

「Ankiはいいぞ」というお話だが、結局は「自分で勉強方法を探して、Ankiの使い方を調べて、工夫し続けてきたから、これだけ使い続けられた」ということだと思う。

その昔、私は法律の勉強をしていた。その際、背伸びをしてイエーリングの『権利のための闘争』(岩波文庫)を読んだことがあった。 岩波文庫読んでいる俺カコイイ」という時期が私にもあったことをここに正直に告白致します...。

その一説にこんなことが書いてあったことを思い出した。

諸国民が何の苦労もなしに法を手に入れたわけではなく、法を求めて苦心し、争い、戦い、血を流さねばならなかったからこそ、それぞれの国民とその法との間に、生命の危険を伴う出産によって母と子の間に生ずるのと同様の固い絆が生まれるのではないか? 何の苦労もなしに手に入った法などというものは、鸛が持ってきた赤ん坊のようなものだ。鸛が持ってきたものは、いつ狐や鷲が取っていってしまうかしれない。それに対して、赤子を産んだ母親はこれを奪うことを許さない。

権利のための闘争 (岩波文庫)

権利のための闘争 (岩波文庫)

こんなコムズカチイ古典の引用なんてしなくてもいいのだが、結局は勉強方法は自分で苦労して探すしかない。しかし、苦しんで探した分、自分の勉強方法に愛着が沸くし、問題解決能力の鍛錬になる。自分で作ってきた勉強法を改善できた分、喜びがある。

「やりたいことがあるが、勉強を死ぬほどやらないといけない.し覚えられる自信がない..」って思う人、そんなことでやりたいことをあきらめなくてもいい。そんなときはAnkiがサポートしてくれる。

自分の勉強方法を探すきっかけとして、Anki、おすすめですよ。