狐の嫁入りっていいよね

理系と芸術系になりそなった文系卒、コンピュータグラフィックスを学ぶ

文系卒だけど独学でCGエンジニア検定エキスパートとCGクリエイター検定エキスパートにダブル合格した話

2018/7/8(日)にCG-ARTS協会主催のCGエンジニア検定エキスパートとCGクリエイター検定エキスパートをダブル受験した。

2018/8/3追記

CGエンジニア検定エキスパート CGクリエイター検定エキスパート 両方とも合格しました。

CGクリエイター検定の概要

https://www.cgarts.or.jp/kent,ei/about/creator/index.htmlwww.cgarts.or.jpより

CGエンジニア検定の概要

www.cgarts.or.jpより

なぜこの記事を書くのか

コンピュータグラフィックスを勉強したかったことと、文系かつ独学でCGエンジニア検定エキスパート(とCGクリエイター検定エキスパート)を受けたという記事がネットになかったから記事にした。

あったのは理系の人の記事だけで、中には10時間でCGエンジニア検定と画像処理エンジニア検定に受かったという人もいた。(両方ともエキスパート)

記事を伺う限り、頭脳明晰で大変優秀なお方で、むしろ凡人にとっては外れ値として扱うべきなのではないかとすら思う受験の記録であった。

残念ながら物覚えが悪い文系出の私にはあまり参考にならなかった。

そんな経緯があり、 「高校数学1Aまでしか履修していない文系卒が独学でCGエンジニア検定エキスパート(とCGクリエイター検定エキスパート)を受けてみたらどうなるのか?」、そう思い受験をし、両方とも自己採点で合格点が取れているようなので記事にした。

以下、 CGエンジニア検定エキスパートをCGE

CGクリエイター検定エキスパートをCGC と呼ぶことにする。

総勉強時間

2018年のGWくらいから一日大体約3hやっていた。直前期は諸々あり体調を崩したので1週間ほぼほぼできなかった。 なので、準備期間が2か月間、勉強時間が60日*3h=180hくらい。

内訳

  • CGE 150h
    • 新規 96h
    • 復習 34h
    • CGEに必要な数学 20h
  • CGC 30h
    • 新規 19h
    • 復習 11h

資格が欲しいというよりはCGの知識やロジックをしっかり理解して覚えたいという感じだったので、CGEの勉強量は多いのではないのかな。

CGC:CGE=1:5の割合で勉強したのに、悲しいことに点数はCGC>CGEだった。

復習でankiというアプリを使っているが、その復習の統計データがあるから載せておく。

CGエンジニア検定の復習データ

CGクリエイター検定の復習データ

メインで使った教材

CGE/CGCの公式のテキストと問題集。

CGクリエイター検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第二版]

CGクリエイター検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第二版]

CGエンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第三版]

CGエンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第三版]

ディジタル映像表現 -CGによるアニメーション制作- [改訂新版]

ディジタル映像表現 -CGによるアニメーション制作- [改訂新版]

コンピュータグラフィックス [改訂新版]

コンピュータグラフィックス [改訂新版]

数学の復習で使ったサブ教材

前提として私は高校が普通科ではなかったので、履修したのは数学1Aまで。数学2B以上は未履修。大学も私大文系であることに留意していただきたい。

必要になった数学の知識は

  • ①行列の基礎(未履修)
  • ②三角比
  • ③確率
  • 微分(未履修)
  • 偏微分(未履修)
  • ネイピア数(未履修)
  • ⑦ベクトル(未履修)

内、①~⑤を復習した。ベクトルはやっていない。あとΣも出てくるけど、Σは知っていた。

①~⑥はがっつりやったわけではないが「何をしているのか」だけをざっくり押さえた。

各知識の概念を抑えるために下記参考書を使った。

①行列の基礎(未履修)

マンガ 線形代数入門 (ブルーバックス)

マンガ 線形代数入門 (ブルーバックス)

この本の二章までの「行列の掛け算の求め方」まで理解できれば試験対策上は問題ないように思える。

「行列の掛け算は左の行列のヨコの要素とそれに対応する右の行列のタテの要素を順番に掛けて足すだけかあ」とだけわかればいい。

②三角比 ⑥ネイピア数(未履修)

スバラシク面白いと評判の初めから始める数学B

スバラシク面白いと評判の初めから始める数学B

単位円の代表角がなぜそうなるのかとかラジアンらへんを抑えればよい。

ちなみにこれと上記の行列の知識だけ理解し、教科書を読んだら、三次元同次座標におけるアフィン変換の問題は満点だった。

ネイピア数は exp1 = 2.718282...

円周率みたいなもので、かつ、n乗によって値が変わるんだなとだけ把握。 メタボールの公式で使う。

③確率

確率はネットの適当な記事でなんとかした。 パラメトリック曲線の一つであるベジェ曲線バーンスタイン基底関数にnCrが使われる。

微分(未履修)

マンガでわかる微分積分 微積ってなにをしているの?どうして教科書はわかりにくいの? (サイエンス・アイ新書)

マンガでわかる微分積分 微積ってなにをしているの?どうして教科書はわかりにくいの? (サイエンス・アイ新書)

積分は「面積を求める」、微分は「曲線のある点における傾きを求める」みたいな感じでざっくり理解できれば問題ない。

偏微分(未履修)

mathtrain.jp

参考書ではなく、ネットの記事だが、参考になった。 偏微分っていうと大学数学の範囲だし仰々しいイメージがあったのでビビっていたが、ちょっと考えたらそんなに難しいことではなかった。

「xyzの三次元上の空間に何らかの曲面があり、その曲面上のある点の傾きは、xyzのいろんな方向から取ることができる。つまり、どの座標の方向からその傾きを見るかで、傾きが決まる」とざっくりと理解した。

普通の微分「一つの方向からしかその点と曲線の傾きは見れない」のに対して、「xyzのどの座標の方向からその点と曲面の傾きを見るのか」っていう要素が加わったのが偏微分だと。

偏微分パラメトリック曲線の法平面、主曲率、平均曲率、ガウス曲率らへんで使う。 本試験でも法平面、主曲率、平均曲率、ガウス曲率の問題が出たが、正解できていたようなので、偏微分もざっくりイメージを理解するだけでいい。

⑦ベクトル(未履修)

ベクトルも必要なんだろうけど何も数学の復習はやっていない。 シェーディングの理解が進むんだろうがあまり乗り気がしなかった。  

具体的な勉強の進め方

  • 問題集のベーシックの問題をとりあえず解いてみる

  • 分からないなら答えとテキストの該当箇所をざっくり見る

  • 数学の知識が必要なら上記のようにざっくり捉える

  • なんとなく理解したらベーシックの同じ単元の問題をすべて解く

  • 理解したことを書き留めておいてankiに登録して復習する

  • 大体ベーシックの問題を終えたらエキスパートの問題も上記やり方でこなしていく

直前期にやったことは

  • mindmeisterを使って知識を体系的にまとめた
  • ankiで苦手なところをひたすら復習した
  • 問題集の苦手なところに付箋を貼っておき、ひたすら復習した
  • テキストの流し読みをした

その他

ダブル受験するのであれば、知的財産権の対策はしっかりやったほうがいい。 範囲が狭い割に得点が他の問題と比べて(ダブル受験する場合)二倍になるので、コスパがいいから。

説明をすると

CGEとCGCは各40問出題されるが、そのうち知的財産権は4問出題される。

構造としてはこんな感じ。

CGE = 知財4問 + 他の単元36問

CGC= 知財4問 + 他の単元36問

その上、この知財4問は共通問題。

なので4問とも正解であれば全80問中8問正解したことになる。 逆に、4問とも不正解であれば全80問中8問不正解ということになる。

このようにダブル受験するなら、知的財産権レバレッジが他の単元に比べて二倍大きい。 覚えることも大して多くなく、ダブル受験を考えるのなら優先順位が高い単元と言える。